「んん…ちゅぷっ……うん…ん…、はあぁ…、ん、んん……」
静まり返った部屋の中では淫靡な音だけが響いていた。
月にフィーナと共に正式に出発する前夜。今後の事も話し合う為に二人は達哉の部屋で会っていた。
ベッドに腰掛けた達哉に対し、フィーナはその前でひざまずき、そそり立つ竿を咥え、やわらかな愛撫
を加えていた。
「…ああ…、フィーナぁ……、はぁ……はっ…くっ……!」
両手を達哉の腰に廻し、飽きずに口のみの愛撫を続けるフィーナ。
堪えきれず声が出始めた達哉は、フィーナの頭をなでる左手に力が入っていく。
「ふふふ、どうしたの? もう震えているわよ」
フィーナが見上げて微笑を浮かべる。口から抜けた竿が、唾液を弾きながら勢いよくとび出た。
「フィーナの口が気持ち良すぎて…、うまくなったね、フィーナ」
「違うわ、うまくなってなんかないわ」
ふと達哉は、見上げるフィーナの目に妖艶さが増したような気がした。
する度にいやらしくなっていく自分の伴侶。その引き締まった美しい目が自分を見ているだけで、射精感が
こみ上げてきそうになる。
「ただ、あなたの悦ぶ事をしてあげているだけ。
今日はどうするの?」
妖艶さを浮かべた目を向け、ささやく様に言うフィーナ。
彼女はこういう時、いつもそう聞いた。そして、達哉から返ってくる返事もまた、いつもと同じものだった。
「いつものように、飲ませてかけたい……」
どちらか一つに絞れない。情けないなと達哉は思う。
が、どちらもして欲しい事には変わりない。フィーナが下半身を使えない時は二度に渡って咥えて貰っている
が、今回はいつも通りだった。
「もう、いつもながら欲張りね」
達哉の目から視線をはずさず、フィーナは竿に軽くキスをすると、舐めながら先端まで這わせていく。
先端に到達すると、先を下で絡めながらゆっくりと軽くしごくように飲み込んでいく。
「ん……、んん…、ううん……」
フィーナがゆっくりとすべてを飲み込み、先を喉で挟む。
舌は竿を絡め、徐々に、ゆっくりと、そして強くしごきはじめる。
「ああ、く…くるっ……、フィーナ、フィーナぁっ!」
フィーナの頭をなでる手に、力を入れて手前に引こうと何度も思った。今までも。しかし達哉は出来なかった。
愛するフィーナを強引に自分の性器に押し付ける事はしたくなかった。すべてをフィーナに任せればいい。
右手を伸ばし、腋の下からフィーナの胸を揉みながら、その胸を覆うドレスを剥がしていく。
その均整に整えられた胸が露出すると、手のひらで覆い、優しく揉み始めた。
フィーナの胸が達哉の手の上で形を変える頃が、いつもの合図のようになったしまった。
「んんん、くっうっ…、っはぁ…、んっんっんっ!!!」
竿を覆う舌の動き、そしてフィーナの与えるピストンのスピードが上がる。
達哉の先から耐え切れずに液がこぼれ始める。フィーナはそれを舌で突っつくように舐め取りながら、なおも
スピードを速める。
「ああ、フィーナ、フィーナ…フィーナっ、フィーナっっ! ああ、出る、出るっ! フィーナぁぁぁっ!!!」
ビクンビクンと強い痙攣を起こしながら、フィーナの口内で達哉のが爆ぜる。
びゅるっびゅるっ、と放たれると、フィーナはすぐに口から出し、戻していた右手で竿を掴み、しごきながら自ら
の顔を近づける。残りが放たれると、前髪、鼻、頬や胸元に飛び散る。
「んぐっ…うう…。うぐん・・・・・・・・・」
結構な量が入ったのだろうか、いつもより苦戦しながらフィーナが飲み干す。
「もう、達哉ったら。一回目で出しすぎよ。
でもこれだったら、次は全部飲むほうでもいいかしら」
「そうだね、次は全部を飲んでもらおうか……」
やや息を切らしながら達哉が言う。
「いいわ。飲んであげる。でも、次も両方っていうと思うわ。あなたの事だから」
二人は笑い合うと、そのままベッドに横たわり、互いを抱き合い、濃く、深くキスを始めた。
フィーナの後頭部に添えられた達哉の手にやや、力が加わる。押し付けられる格好となったフィーナはそのまま
身を任せて達哉の唇、舌を貪る。何分と飽きずに濃厚なキスを続けていた二人は、どちらともなく離れ、お互いを
見つめ合った。唇を繋ぐ唾液の線が切れたとき、フィーナが先に口を開いた。
「どうして、キスの時だけは強引なのかしら」
「これが一番好きだからな、俺は。困った奴だよ」
「ほんと、困った人よ。あたなたは」
くたびれた竿手を這わせながら、フィーナは唇を突き出した。また熱いキスが混ぜ合わされる。
「ああ、愛してるよフィーナ…」
「……、私もよ。愛してる、達哉ぁ…」
互いの唇を舐めあい、性器をまさぐり合う二人。
達哉の竿が固くなった頃、フィーナは唇を放し、達哉を見つめて言った。
「ねぇ…。これから私達は結婚するのだけど、それまでは道が険しいのがあなたも分かっている事と思うわ」
達哉は頷き、フィーナの続く言葉を待つ。
「結婚式を挙げるその日まで、子供を作るわけには行かないわ…。
そして、私は達哉との間に薄い皮一枚を張るのも……嫌……。何も障害なく、あなたと結ばれていたい」
「それは俺も同じさ。フィーナとの間に、避妊なんて考えたくないし、ありえないはずだ」
「だから……私、準備をしてきたわ。後は、あなたの心次第……。
横になったままでいてくれる?」
言われるまま、達哉はベッドに横たわったまま、フィーナの次を待つ。
起き上がったフィーナは、ドレスを脱ぎ達哉の上に跨った。すべては脱いでいない。
頭と胸元にあるアクセサリーとロングソックスはそのまま。全部脱がないで欲しいという達哉の要望を
フィーナが取り入れた結果だった。
「んっ…んんっ、少し待ってね……」
フィーナは赤らめながら自分の性器を弄り、すでに立ちきった竿に愛液を垂らす。そして、手ですくった液を
自らの後ろに塗りつけ始めた。
「本当に結ばれるその日が来るまで…、……こっちで………、愛してあげる」
フィーナの声が震える。指はいやらしく小さな可愛い穴を少しだけ開く。
彼女が考え抜いてそこに行き着いたのだろう。
一国の姫と後ろを使って愛し合う。いいのだろうか、それで…。
「い…嫌ならいいの…。私もまた考えるから。
でも、そのままで愛し合うにはこれしか………」
震える声がだんだんと小さくなる。フィーナも恥ずかしいのを通り越した上で言っているのだ。
達哉は予想外の事に、そしてここまで来てしまったフィーナの態度に興奮を覚えた。
確かにそこは使うところじゃないはずだし、どんなに準備しても汚いところには変わりない。
しかし、舐めた程度の事なら今まででもある。何度も。モノが入るぐらい…。
「フィーナ、そのまま腰を落として…。入りたい、フィーナのそこに……」
「そう言ってくれると信じていたわ」
その声はすでに消えかかっていたような小さなものだったが、フィーナは言われたとおり、ゆっくりと腰を落とし、
さっきより硬くなった竿と触れるところまできた。
「フィーナ、後ろの力を抜けるかな…?」
「やってみるわ。あなたははずさないようにしっかりと…」
「ああ」
フィーナの後ろに、愛液で濡れた先端が軽いキスをする。
「なんか、変な感じ…。達哉ぁ、下ろすわよ」
「ああ、そのまま来てくれフィーナ。早く一つになりたい…!」
「あああ、あああぁぁっ…、くっ…、きついっ…!!」
竿が掻き分けて進んでいくと、フィーナは苦痛の声を上げた。それでも腰は落とされ、嬌声はいつもより大きな
ものになった。やがて下りきると、少しばかりの落ち着きを取り戻す。
「すごい、フィーナ…。入り口が凄くきつい…。これで動くとすぐに……」
達哉は動きたい衝動をこらえながらフィーナの返事を待つ。
放心状態に入る直前にあったフィーナは、達哉を見下ろすと呼吸の乱れた口調で言った。
「…ちょ…ちょっとま…、わ、私…が、すぐに動くから…」
「大丈夫かフィーナ…!?」
「心配…いらないわっ…、ああっ、ふあっ!!!」
すぐに腰、腿を使って上下運動を始め、歯を食いしばってでも快楽を与えてくるフィーナに、達哉はいとおしさが
こみ上げてくる。二人の繋がった所には愛液が流れ込み、より一層の暖かさと淫靡な水音を激しく立てる
「でも、大丈夫かフィーナ!? 苦しそうだぞ!…くっ…ああ……、うぁ…!」
「いい、いいのっ、あなたに気持ちよくなって欲しいの…。あなたが気持ちよければ私もいいの。
だ、だからっ……、ああっ!! 私のお尻が…っ、ああっ、くうっ……達哉、達哉ぁっ!!」
上下から、楕円を描くようにフィーナの腰が動く。
達哉はその腰に当てられた手を放し、フィーナの両手に絡む。
両手が硬く握り締められると、そこを支えにしてフィーナの腰はさらに揺れた。
「はああ…はあ、こんなに凄い気持ちになるなんて……ああ、ああっ!
達哉っ、私…、私壊れちゃうかも…! ああ、ふあぁっ…」
言いながらも、腰の動きが衰えるどころか、少しずつ早まっていく。
「フィーナ、フィーナぁ…、いくよ、俺からも……っはぁ、はあっ! んくっ!!」
乱れきったフィーナの下半身を激しく突く。突き上げられるフィーナの胸が柔らかに跳ねる。
締め付ける口はその強さを増していき、顔に浮き出る流れる汗は、そのまま精を流していく。
達哉を見つめる潤んだ瞳が。激しく、熱い吐息が。顔に付着されたまま残った精液が……。
フィーナのすべてが美しく見えた。
「んあぁっ、んんんうっ、ああ達哉、達哉、達哉っ!! 私もう駄目っ、駄目! お尻がきちゃうっ!
ううっ、きちゃう…!!! 達哉好き、達哉好きよ、達哉好き!!!! あ、ああぁぁぁっ!!!!!!」
「フィーナっ、フィーナぁぁぁぁぁぁっ!!!」
艶やかな嬌声を上げるフィーナが仰け反ると、口は射精をさせないかのごとく閉まる。そして半開きになっていた
前からは粘り気の強い愛液が何度も放たれた。
フィーナの絶頂に合わせて、達哉は突くペースを徐々に下げていき、果て終わると深く刺し、そこで止めた。
「いつ見ても…、綺麗だよフィーナ。美しい…。フィーナ…、愛してる」
「達哉だって……。私も達哉の事、愛してる…」
達哉は手を引くと、のけぞっていたフィーナが前に傾く。
「あ、達哉…。達哉のま、まだ…固い……」
口元がだらしなく開き、言葉もうまく繋がらないフィーナ。
硬くなった竿を後ろの口で咥えながら、フィーナは引かれるまま、倒れこむように達哉にキスをした。
「んっ、はぁむ…あむ……んん…」
唇が重なると、フィーナはすぐに舌をいれ、お互いを絡めあう。
咥内に流れ込む、フィーナの唾液を舌で絡めながら達哉はさらに強く唇を押し付けた。
きゅっ、きゅっ、とフィーナの後ろの口がしまる。
やがて唇が離れ、目を開くと、そこには表情に陰りのあるフィーナの顔があった。
「私だけ、いってしまったのね……。達哉にも気持ちよくなって欲しかった…」
達哉はそっとフィーナの頬をなでながら言う。
「いいんだよ。たまにはフィーナにも気持ちよくなって欲しいから。
ほら、いつも俺は早いから。いつもフィーナに申し訳なかった。
でも、これならフィーナを沢山悦ばせてあげられる。俺はうれしいよ。
フィーナにもっと気持ちよくなって欲しい。そんなフィーナの顔が見たいんだ」
「でも、達哉、これじゃあ私だけ…。
私、一人だけが気持ちよくなっても……」
「そういう時は、もう一度すればいいじゃないか。しよう、フィーナ。いいかい?」
「ええ、勿論。
達哉、今度はあなたが気持ち良くなる番よ。
ちゃんと一緒に………ね?」
「フィーナ、そのまま起きて、むこうを向いてくれないか?」
「ええ? 起きてむこうを…?」
怪訝な表情を浮かべながら、フィーナは言われた通りにする。
むこうを向く際、繋がったままの竿がフィーナの後ろに軽く閉められる。
一生懸命に、繋がったまま体勢を変えようとするフィーナを抱きしめたくなるほど
気持ち良かったが、達哉はまだこらえた。
(落ち着け、俺。自分が気持ちよくなるだけじゃ駄目だ。
俺ばっかいかずにフィーナに良くなってもらっているんだ。フィーナにもっと気持ち良く
なって欲しい。後は一緒にいければいいだけだ。今動くと、俺が先に果ててしまう…。
フィーナ、フィーナ……。分かっていても、抑えられない…。フィーナへの思いが…)
わずかなきっかけでもあれば、すぐにでも抱きしめ、思いのたけを放ってしまう達哉だった
が、流石にフィーナとの経験が積まれた今は慣れもあり、耐え切れた。
「こ…これでいいの……?」
「ああ、いいよ…。
こうしてみると、フィーナの後姿も美しいな。では、俺も起きるよ」
起き上がり、そのままフィーナを軽く抱きしめる。
「ああ…達哉ぁ…」
「フィーナの髪…、いい匂いだ……」
達哉は両手をフィーナの胸に這わすと、ゆっくりと揉みはじめる。綺麗に整った胸がいやらしく
形を変えていく。その左手にフィーナの手が添われた。
「達哉ぁ…。胸もいいけど…、こっちを……ここを…達哉の指でして欲しいの…」
「フィーナ…?」
フィーナに導かれた先は、ねっとりとした愛液の湖だった。
支えきれずにこぼれ出る愛液は、二人を繋げる結合部の潤滑油になっていた。
「二本でいいかい?」
「駄目よ…。
二本も入ったら膣で広げられてしまうわ。それは困るの」
「なら一本で…」
フィーナの耳に舌を這わせながら、指をゆっくりと中をなぞるように入れていく。
ビクンとフィーナの体が震え、竿が一瞬だけきつく締まった。
「……あ、はあっ……、だって……だって、あなたのアレより…、くうっ…! 大きくなるものは
入れたくないの…。私の中に入る……、ああっ、ああっ! 一番大きいのは…、あなたのもの…!」
「………、フィーナ…!」
高まってくる感情を抑えきれない。達哉は中に入った指をゆっくりと掻き回し始め、。余った右手は
愛液をすくい、興奮しきった豆をなでる。舌を這わせていた耳を軽く噛む。
「はあはぁぁ、いや…あっ、あっ……だめ…、達哉、達哉…そんなに…、うあっ…ああ!」
「フィーナ、ちょっと苦しい体勢だけど…、このまま動いて!
動いて、俺を………!」
口を離すと、フィーナの耳から塗りつけられたような唾液が垂れる。
達哉は身を下げ、フィーナが動けるように結合部周辺を広げる。豆を撫でていた右手も後ろに下げ、自分の
傾いた体を支える。左手だけが、熱心にフィーナの中を蠢いていた。
寂しくなった豆にはフィーナの手が添われた。自分でやりかたを熟知しているせいか、達哉が撫でるより、余程
早く、確実に自身への興奮を高めていく。腰を浮かしては下げ、また浮かしては下げ、フィーナぎこちなく動く。
中に入っている指は積極的には動かず、フィーナの腰の動きに合わせられた。
「凄いよフィーナ…、後ろから見てると、俺の先走ったのとフィーナの液でぐちゃぐちゃになってる…。
気持ちいい、凄くいいよ、フィーナ、フィーナっ!!!」
「達哉っ、達哉っ! もっと、もっと私で気持ちよくなって…ね…! ああ、いい! 私も…気持ちいいからっ!
出す時は…、そのまま中でっ! 中に出してっ!! 出してもいいからっ、あっあっ、達哉ぁっ達哉っ!!!!」
「フィーナっ! フィーナっ! フィーナっ!!!」
腰の動きは徐々に早まり、中に入った指は自分から動かずともフィーナへ与える刺激は十二分なものになっていた。
締め付けられる指は、まるで奥に吸われていくような感じさえ、達哉に与えた。
いや、確実に奥に吸われていた。動きやすいようにと、第二間接でとどめていた指は、いまや根元まで完全にフィーナ
の中に入り込んでいる。
(指が…指が気持ちいい…、俺のはいつも、ここに入っていたんだな…、凄いよフィーナ…)
快楽を貪り、強く腰を打ち付けるフィーナの後姿を見ながら、達哉は急速に終わりが来た事を覚悟する。
「フィーナ! フィーナ、も…もう………。フィーナ、愛してるよフィーナっ!!!!」
「私も、私も愛してるわ達哉ぁっ! 私、私、達哉にお尻突かれて壊れちゃう! 壊れちゃう、達哉っっ!!!!」
「フィーナ、一緒に壊れよう! 俺も壊れるっ! フィーナ、フィーナ、フィーナ!!!!!!」
「あっ、達哉っ、達哉! はあっあ、ああぁぁぁぁっ、達哉ぁっ!!!!!!」
爆発するように達哉が果てる。フィーナの後ろの中には叩き付けるように精液が放たれた。それと同時に中に指を入り
込ませていた手に、熱い液がほとばしる。さらに、粘液のかかったそれと違う液体が勢い良く弾け出た。
ぷしゃーーーーーーーーー!!!!
「はっ…はっ、ああっ…駄目…止まらない…、ごめんなさい達哉っ、汚してしまっ…、いやっ、ああっ!!!」
放心状態でかつ、達哉の射精が終わるまで腰を動かし続けたフィーナがバランスを崩し、達哉の上に倒れこむ。
頭の中が真っ白になっている達哉はそれを支えきれずに、二人揃ってベッドに横たわった。
達哉の手に当てられていた液体が止まると、二人は放心状態のまましばらくそのままでいた。
力尽きた達哉の竿が抜けた時、フィーナは甘えたような声で、ささやくように言った。
「ねぇ? どうかしら。これなら、この先も愛し合いながらやっていけると思うの。
この先は忙しくなるはずだけど、私はあなたと無理をしてでも会って、こうして愛し合いたいわ」
「それは俺も同じだよ。無理をして時間をとってでも、フィーナと会いたい。愛し合いたい。
これからもずっと………、フィーナと………」
「達哉……」
「フィーナ……」
見詰め合う二人はどちらからともなく、唇を合わせ、時を忘れたかのように、熱くキスを続けた。
互いの体のぬくもりを感じつつ、幸せのときを過ごした。
この先、完全に結婚が認められるようになるまで、どれだけの月日がかかるかは分からない。だが、
達哉はこんなに自分の事を思ってくれる女性がいる限り、どんな苦境、妨害にも耐えられるだろう。
愛する女性と舌を絡めながら、達哉はそれを実感した。
(フィーナ。君の為にも俺は必ず、月の人々に認められるようになる。そして、月と地球の友好回復に力を入れていくで
あろう君を、俺のすべてを持って支えてみせる。どんな妨害にも屈しない…。愛しているよ、フィーナ…)
二人が唇を話した頃、夜は明け方を迎え、白くまどろみ始めていた。
「この美しい夜明けは、私達二人の門出ね」
「ああ、この先、どんな苦難にも立ち向かって、乗り越えてみせる。そんな勇気を与えてくれる…美しさだ…」
「ええ、私も乗り越えてみせる。私には、あなたがいるわ」