1 入札は気合いだ、しり込みする前に実行せえ!!
鹿之介:
先日に作戦終了となった、足掛け四年に渡って敢行されたヤフオクでのイラスト入札。
これでついに長年続いた二次元美少女物への出費がほぼ、停止することになる。
大佐の命日を目前にどうかと思ったが、過ぎればよいというものでもない。
ここでは前回の続きから廃止に至るまでを記録しておく。
フィーナ:
これが今年のお題に合ったイメージ画像ね。
入札直前
入札開始
総攻撃
ポリン:
それにしても物々しいわね。
フィーナ:
あくまで意気込みね。
それらが無くなる時が来てしまったというわけ。
鹿之介:
あれからフィーナ入札についてはリクエストで良いという結論が出ていたが、これは失敗だった。
ポリン:
出来上がりが納得できない?
フィーナ:
他の入札者は25000円付近で落札。
鹿之介の場合は30000を超えてもまだ落札には至らなかった。
ポリン:
嫌われてしまったのね、変態な要求するから。
鹿之介:
まあそんな所かな。
俺の要求は基本着衣なので手間がかかる。
エロを基本でやっている方は裸が普通に描けるので服は困るんだろうな。
だから、断られたと解釈している。
フィーナ:
システムの都合もあって、時間が取れないから難しいのは出来ないと、予め告知している方が普通で、頼めない。
ヤフオク以外に何かしらのシステムがあれば、やってみようと思うのだけれど、現状ではやりようがなく、結果的にリクエストは止めようという事になってしまったわ。
フィーナ:
気になったのはCG出品の人が減ったかしら。
鹿之介:
そういえば、減ったというか見なくなったなぁ。
でもCG出品は買いにくいと思うなぁ。
以前に落札した事あるけど、ダウンロード期間も24Hで終わり。
無くしたらアウトはしょうがないが、今だったら対応が出来ないのでもう無理だ。
ポリン:
貴方、ダウンロードも出来ないの?
鹿之介:
以前から行動力が落ちていて、06:30起床、22:00帰宅のスケジュールで食事、洗濯、風呂で手一杯になっていて他の事に気が回らなくなっている。
今回ヤフオクから撤退するのも、「再入札を忘れる」ということが"多発"しているからなんだ。
こんな状況だと、よしんば落札しても03:25とかにアップロードされた場合、朝に気づけばよいが、出来なければもう終わりだ。
フィーナ:
この他、同じ出品物が再出品される事態も発生しており、二度と入札しないことが決まったの。
手描きと違って全く、同じものをいくらでも量産できるから入札方式では手を出してはいけないわ。
15年前によくあった、同人CG集ならいいのだけれど。
鹿之介:
今思うと、30000とか90000とかで落札してるんだったらさ、
「ダウンロード作業は結構です。こちらからRで焼いたのを送ります」
とか言ってもいいんじゃないかと。
ポリン:
そんな事考えるのなら、入札などしないことね。
出品者もいい迷惑よ。
鹿之介:
ごもっとも!
フィーナ:
CGに限らず、苦戦しているところは厳しい状況ね。
後は金額が伸びない所は本当に伸びず、鹿之介が常連で買っていた所はずるずると下がって行ったわ。
鹿之介:
値が高い所と低い所の差はなんだろうか、考えてみたけどよく分からない。
営業している方を拝見したことあるが、あれも一つの手だと思う。
出品するたびにメッセージを送ってくるとか。
フィーナ:
メッセージでやり取りできると、出品して欲しいジャンルの傾向を話したり出来るから、悪くは無い話ね。
鹿之介:
そうなると、意地でも落札しないといけなくなるから高額にはなるな。
ポリン:
仕上がりの絵だけで勝負は出来ない時勢なのかしら。
でも、どこの業界も売り込みは大事よね。
鹿之介:
モノだけではAI生成が強くなってきた今、厳しいだろうね。
ぶっちゃけ、渋で見たAIフィーナを拝見した時、俺も生成したいと思った。
依頼の時によくやった、「この絵のように描いてください」ならAIで良い。
面白みのない時代になったが、自力生成できるなら、それはそれで面白いか。
フィーナ:
全体的に落札金額が下がりつつある。つまり入札をする人が減っている。
出品をやめる。
物がないので入札を見に来る人も減る。
入札をする人が減る。
悪循環ね。
鹿之介:
俺もこれで止めてしまうが、先に止めていった人の気持ちは俺とは違うと思う。
先人達は何を考えて止めていったのかな。
特に常連だった所で、急に俺が落札するようになって、気がつけば俺が一番金を出している。
ちょっと前までは土壇場で敵の逆襲を許し、奪還されるのが普通だったのに。
ポリン:
貴方は何を考えてやめるの?
鹿之介:
そうだねぇ。ふと振り返って考えた。
一生懸命予算を用意して落札してきて、本当にほしいと思ったものは2020年で終わっている。
後の入札は木石に徹しておる。
絵柄が好みの人はジャンルが合わない。
ジャンルが合う人はセンスが合わない。
じゃあ、今後をどうするか
フィーナ:
落札できてもその喜びが分からなくなっていった。
初志を忘れたというより、目的と結果がずれているのに気づいた。
2023年2月には金銭問題で一時的にやめて5月には復帰したけれど、根本の問題が解決しないから、やめるしかないのよね。
鹿之介:
かくして最終入札を持って終了とすることに。
フィーナ:
そんな状況を今年のお題で。
あの入札は絵師で選ぶか!? それともフィーナだからか!?
映画 二百三高地
乃木希典 →鹿之介
伊地知幸介→フィーナ
丹波鉄郎 →ポリン
四年弱に渡る入札は、成果に一定のものがあったが、初期の目標を達成したとは言い難かった。
ここで鹿之介は当初から続けていたやり方を一変させる。
「これまでの入札目標を絵師優先から、フィーナ優先へ変更する。
いつもの絵師様がフィーナを描けば解決するが、値がつかない以上は期待できない。
これが最後の攻勢になる」
絵師優先ではフィーナのイラストを落札しようとしても出来ない。
限られた予算では両翼を同時に攻略することは出来ない。
以前は出来たが、それは絵師優先の方が落札できなかったからフィーナに余力ある姿勢で臨むことが出来た。
唐突ともいえる作戦変更にフィーナは戸惑いを見せた。
「c59の頃から、いえ、それ以前の即売会からジャンルよりサークル優先。
サークルの方針に合わせて買うから、ジャンルをそれで覚えるのが貴方の進んできた道。
これを転換するということは、この四年弱、買い続けてきた所を止めるということになるわ。
それで良いのかしら?」
「決戦だ。泣いても笑ってもこの決断でフィーナを満たし、突き進む。
そして、いずれやめることになる。
そもそも、今年の二月一杯で一度は廃止しているのだ。
できるだけのことをやろう」
この方針の変更にポリンは鹿之介の決死の覚悟を悟った。
「ここにきて鹿之介が入札目標をフィーナ優先に変更した。
これで落札できねば、二度とフィーナを落札する事は出来ないわ。
私が行ってやらねば…」
そばにいる、妹のアリンは両手をテーブルにつけ、覗き込むような姿勢で姉を見る。
ポリンの目の前に挑発的に開かれた、たわわに実った果実がもたらす谷間が目に入る。
揺れていた。
「今にでもクロパキトンが南下をする気配を見せているときに、ポリン姉さまが冥界を離れては困ります」
異を唱えるアリンに、ポリンは思った。
クロパキトンは無いでしょう。そのまんまじゃない。ちゃんと名前を使いなさい。
ホラ、あの冥王様とフリッカの相棒を昔やってた、赤い髪の細マッチョのアレ、アレよアリン…。
顔は思い出せて、やっている事も思い出せる。
城砦を空中浮揚させて、人民に土下座させて喜んでる、ホラ、あの天界人のアレ。
アレよアレ…。
名前が出ない。一瞬、深く考えたポリンも仕方がない。もう、この場はクロパキトンに置き換える。
「それに、ポリン姉さまが鹿之介邸まで行って落札に失敗したら、生きて姉さまはこの冥界に…」
「それが分かっているのなら、私を行かせてくれないかしら」
邸宅へ着くと、フィーナが出迎えた。
応接間らしき部屋へ案内される途中からポリンは口火を切った。
「入札状況はどう? もたもたしていては何も落札できないわ」
ポリンの強い口調に対し、フィーナはゆるりとかわすかのように優雅に答えた。
「二正面作戦の弊害が強く出ていて、投入する金額が増せずに」
「言い訳は聞きたくないわ。思いつきで入札して失敗。貴方達は出品者に対し、馬鹿面さらして意気地がない。
そんなボンクラではどれも落札できないわ」
フィーナは振り向き、ポリンを睨んだ。
二人の身長は15サンチ近く差がある。
ポリンの眼前で大きな谷間が、振り向きざまに揺れる。その谷間を憎たらしく睨みつける。
こんなものをぶら下げて、揺らしながら肌を露出させながら狭い家の中を歩き回って、「私たちは家族」とか言うから、大人しい、分別と教養のある青年が悩殺されて、「王女と結婚する」とか言い出すのだ。
その谷間を持っている者は吐き出すように言う。
「そこまで言うのなら、こちらにも言いたい事はあるわ。
長時間労働に休日は少なく、あっても何らかの活動で外出。
馬鹿面さらしてとは心外極まり、責任は周辺環境にあるわ!」
「責任を取らねばならない参謀が他に転嫁する。話にならん!
鹿之介はどこ?
貴方、軍司令官の居所も分からないの!?」
精一杯、胸を張って怒鳴りつける。
身長差のせいでどっちが丹波役だか分からなくなりそう。
フィーナが指を向けると、応接間らしき部屋の中で、鹿之介がコーヒー豆を挽いていた。
四人着席する。
コーヒーが配られる。
アリンが嬉しそうに口をつける。
「鹿之介さんのコーヒーは安物ですけど、美味しいんですよね」
「安くて美味しいのを厳選しているからな。
っていうか、ワルツは安物じゃない。
三越で買えばいいってもんじゃない」
いまいち場が和まなかったが、ポリンは周辺を見る。でかい谷間が二つもあって気に入らないが、気にしないよう心を抑えて話を進めた。
「この参謀では苦労するでしょう?」
「何を。俺のせいでフィーナに苦労をかけることばかりだ」
「入札先への攻め方について意見があってきたの。
貴方の参謀を少々苛める事になるけど、分かってほしいわ」
「もっと、分かりやすく言ってくれ。
クリフ王に代わって、俺の首を斬りにきた。
しかし、ポリンが来てくれれば、後を任せて俺は職場に突入する」
「馬鹿な事を言わないで」
「今まで目標とこだわりに従って、不本意とも思える入札ですらやってきた。
ひとつぐらい俺の思う通りにやらせてもらってもいいだろう?」
「いいえ、駄目よ。
今度の入札は多くのフィーナを愛する者の注目を浴びている。
貴方の名前で落札する必要があるわ」
「ポリン、俺は名誉の為にフィーナを愛しているわけじゃない。衆人環視などどうでよい」
「鹿、私が考えているのは、落札することだけ。貴方の斟酌などそれこそどうでもよいわ!」
ポリンはグラスを取り、一口飲む。
熱く、苦味が染み渡る。
鹿之介は濃い目にしたようだ。
グラスを戻し、皿を置く。
三人も同じように一口飲むとポリンを見た。
「作戦を伝えるわ。
初手で必ず堡塁を落とす。
敵の逆襲に備えて、28サンチ榴弾砲を構える。
終了二分前に28サンチ榴弾砲を持って5000円ずつ打ち込みなさい」
一瞬の静寂。
破ったのはフィーナ。
ポリンの態度に思うところあり、眉間に若干の皺が入る。
口調に優雅さはなくなり、厳しいものになっていた。
「5000円ずつと言いましたが、そのような金額を撃ち込めば吊り上げで余分に支払うことになります。
今の今までの予算を考えるなら、ここは少しでも控えるべきかと。
「敵が逆襲に成功しているのも、かなりの金額を撃ち込むからよ。
ためらわずに撃ちなさい」
続いて鹿之介も言う。
こちらは落ち着き払って言う。
「また金額が上がってこれは儲かると、絵師様が量産された場合、対処に苦労する。
予算は限られているのだぞ?」
「出品されないから難儀しているのよ。盛んに出品されたら、これ幸いというものではないの?
全部、落札なさい」
金銭的に厳しい内容で容赦がなかった。
まさに落札する為の総攻撃だった。
再び、異を唱えるのはフィーナ。
「朝から夜中まで働いてきた鹿之介の大事な給料から、そのような無鉄砲な入札は認められるものではありません。」
厳しい視線をポリンに送る。ポリンがその視線を受け止め、睨み返した。
空気が重くなる。
ポリンはゆっくりと口を開き、重々しく言う。
「今日まで、その大事な給料を無駄に消耗してきたのは誰だ。貴方たちじゃない!?
フィーナのイラスト入札は気合よ。尻込みする前に実行なさい!!」
結果
土壇場で失敗。
ポリン:
終了二分前に28サンチ榴弾砲を撃てって言ったでしょ。どうして撃たないのよ!!
貴方達のようなボンクラじゃ落札は永遠に無理ね!!
フィーナ:
だから言ったろう、撃たれる前に撃て。
相手が同じフィーナを愛するものでも、涙を流して落札させてくれと頼まれても、容赦なく撃て。
それが無法のヤフオクで落札する唯一の方法だ。
なんと言われても、後で撃つ戦法は間に合わねば駄目ね。
鹿之介:
上で言った、俺は職場に突っ込むはリアルの話でね。
20:00から22:00まではまあ、だいたい駄目だ。
現在はゼーダとの撃ちあいは不可能の状態になっている。
これでもう止めようって話になっていた。
吊り上げも困る。応戦が出来ない。打つ手なしなんだ。
ポリン:
二人して笑ってんじゃないわよ!!
アリンまで!!
アリン:
これでポリン姉さまは生きて冥界に帰れませんね。
ポリン:
ちょ、それ・・・!
鹿之介:
あ〜あ、可哀想に。
いらぬおせっかいが愛するめーおーとの別れになる。
フィーナ:
それにしても、「生きて冥界へ帰る」っていう言葉も引っかかるわね。
ポリン:
何も出来なかったくせに私に当たる気?
すっかり他人事ね貴方たち!!
鹿之介:
まあ落ち着いて、紅茶でも飲んで落ち着こう。
大丈夫、作戦の失敗は俺の原因。ポリンはちゃんと帰れるよ。
帰られるように、ライスにでも落札を狙ってみるか。
フィーナ:
落札すると、出品者様は「ライスは売れる」と思って次もライスを描くわ。
それは困るのではないかしら。
鹿之介:
それもそうだ。そのライスを攻める時はフィーナとの同時攻撃になるか。
後は、28サンチ榴弾砲を普通に撃ちこめる別のライスか。
アリン:
ちょっと見つけちゃったんですが、新しい入札の話、どうですか?
鹿之介:
聞こうじゃないか。
ちなみに、夜遅くの入札だって、もう体力的に不可能だ。
いわゆる99000の時のような応戦も出来ないぞ。
アリン:
フィーナさんのイラスト入札について、リクエストの受付をしている所が条件を満たしていそうで、無理な入札を必要なさそうです。
フィーナ:
どうかしら?
鹿之介:
せっかくだ。
やめるのはいつでも出来る。申し込んでみてみよう。
アリン:
業の深い方かと思ってましたが、その通りですね!
ポリン:
ライスへの入札はどうなのかしら?
鹿之介:
やってみよう。
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1 入札は気合いだ、しり込みする前に実行せえ!!
2 ライスシャワー永久堡塁を撃て
3 フィーナか。月の姫様一人がオクイラの荒廃を決めるのか
4 カプセル戦記 ワシら入札者なんか、消耗品ですけぇに
5 ヴィルガスト会戦 第三軍は何をモタついとるか。鹿之介にも困ったものだ
6 ポーツマス条約 自分以外の入札者はすべて敵です。こいつ、オクイラのやりすぎで狂っとるがです!
7 応戦せず 自分はご機嫌斜めがです!!
8 司令部のフィーナです。そこから落札は見下ろせますか!?